帰ってきたヒトラー

By | 2016年8月5日

先日デヴィッド・ヴェンド監督の風刺映画『帰ってきたヒトラー(原題:Er ist wieder da)』を観てきました。
個人的に、ドイツ社会に小さな衝撃を与えた映画なのではないかと思います。
ストーリーを簡単に書いていきますね。
―――1945年、ドイツの敗北を前に自殺をしたはずのヒトラー。目が覚めたらそこは21世紀で…。
現代人たちからはモノマネ芸人としてもてはやされ、Youtubeやテレビ番組を通じてたちまち有名人に。
しかし彼はあくまで彼のまま。自分の思ったことを皆の期待する「あの口調で」述べているまでだ。
人々はドイツにとって絶対的な悪でありタブーだった存在を前にして、歴史を繰り返すのか?
もしヒトラーが現代に蘇ったとしたら?序盤でキオスクの店主に拾われたでヒトラーは、店の新聞を読み漁って今の政治的状況をたちまち把握します。
ヒトラーとテレビ局を解雇されたザバツキの政治的なインタビューに対して様々な回答が返ってきます。
「選挙にはいかない、どうせ意見は反映されないもの」
「移民は嫌だけど、それを言うとレイシスト(人種差別主義者)だと思われる」
「もうこの国はドイツじゃない」
選挙に行かないのは日本の若者だけではなかったことに驚きましたが、どこの国でも似たような問題を抱えているのでしょう。
ドイツ国民の本音が少し見えたような気がしました。ドイツは確かに移民をたくさん受け入れているけれど、決して民間レベルでそれを受け入れる体勢ができでいるわけではないと。
ヒトラーはテレビ番組で、現代の問題(移民問題、少子化など)を彼の思うままに述べていきます。
それは炎上こそしますが、人々の本音に触れ、少しずつ国全体に広がっていくのです。
悲惨な歴史を繰り返さないようにと努めるドイツ人たちの苦悩が、現代にあらわれたヒトラーによって少し解放されたような印象を持ちました。
結局、ドイツの人々は、あんなに憎悪していた存在を拒むことができませんでした。
ヒトラー1人が「悪」なのではありません。彼は当時国民によって選ばれた政治の指導者なのです。
当時も現代でもストレスのたまる時代で、移民もよく思っていないような人たちの心を掌握するのは難しくないのでしょう。
原作を読んでみたいと思った映画でした。